サラ・マラリー主教(Rt Revd and Rt Hon Dame Sarah Mullally DBE)は、1962年にサリー州ウォーキングで生まれ、姉妹2人、兄弟1人と共に育った。ウィンストン・チャーチル総合学校とウォーキング・シックス・フォーム・カレッジに学び、16歳でキリスト者となった。
サウスバンク・ポリテクニック、ヒースロップ・カレッジ、ロンドン大学で学んだ後、国民保健サービス(NHS)で看護師として働いたが、この経験を「神の愛を反映する機会」と評している。腫瘍専門看護師の資格を取得し、ウェストミンスター病院で病棟婦長を務めた。その後、チェルシー&ウェストミンスター病院の看護部長を務める。1999年、37歳の時に史上最年少で英国政府の主任看護官に任命された。2005年には看護師としての功績が認められ、大英帝国勲章デイム・コマンダーの称号を授与されている。
英国の主任看護官として勤務していた期間に叙任への召命を受け、サウスイースト神学教育研究所で研修官の職務に就く。2001年に叙任され、ロンドン・バタシーの聖セイヴィア教会で司祭として奉職した。最初は無報酬の大臣(self-supporting minister)として奉仕したが、2004年に政府職を退いた。その際には「人生で最大の決断」と振り返っている。2012年にはソールズベリー大聖堂参事(財務担当)に、2015年にはエクセター教区のクレディトン主教に就任する。英国国教会で4人目の女性主教となり、カンタベリー大聖堂でグロスター主教レイチェル・トリウィークと共に叙階を受けた。2018年5月、セント・ポール大聖堂で第133代ロンドン主教に就任し。女性初のロンドン主教となった。
2018年5月24日に上院の聖職議員(Lords Spirituals)に加わり、初演説では国民保健サービス(NHS)の創設70周年を祝し、「看護という最初の召命があったからこそ、今日の主教としての自分があるのです。思いやりと癒やしは、常に私の心に存在します。」と語った。2018年3月には枢密院の一員として宣誓し、2019年7月には英国国王の礼拝堂長(Dean of Her Majesty’s Chapels Royal)に就任した。
ロンドン主教としては、日頃より「すべてのロンドン市民がキリストにある神の愛に出会うこと」を掲げ、2020年から2023年にかけて、英国国教会の「Living in Love and Faith(愛と信仰に生きる)」プロセスを主導し、その中でも重要な洞察と決定の過程により同性カップルのための「愛と信仰の祈り」を導入するに至った。また、教会の全国安全対策指導委員会の一員であり、保健・福祉問題の主任主教も務める。
聖職議員としては、牧師としての経験と看護・医療の経歴を活かし、安楽死をめぐる継続的な議論において重要な役割を果たしてきた。
今年は、英国国教会の3年間の支出計画を策定した「三期予算作業部会」の議長を務め、地域教会と教区聖職者への大きな投資を実現した。
サラ主教は既婚者であり、夫のエイモン氏はアイルランド出身のIT・エンタープライズ・アーキテクトであり、養蜂やロンドン観光ガイドのボランティアも趣味としている。2人の子ども、リアムとグレースはもう成人している。彼女は健康サービスへの関心を持ち続け、ロイヤル・マーズデンNHS財団信託やソールズベリーNHS財団病院の非常勤取締役を歴任した。現在は、「クリスチャン・エイド」の会長を務めている。自身のディスレクシアについても公に語り、書くことや読むことに困難があると説明している。余暇には料理、散歩、陶芸を楽しむ。